職務経歴書と履歴書に「書かなくていいこと」|書類選考の仕組みから逆算して整理しました

職務経歴書と履歴書に書かなくていいこと

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職務経歴書を書き始めると、まず手が止まるのは何を書くかではなく何を書かないかだと思います。

書けることは山ほどあります。ただ、書類選考にかけられる時間は長くありません。全部書くと、いちばん見てほしいところが埋もれます。

この記事では、2つに分けて整理します。

  • 制度として書く必要がないもの(厚生労働省が示している範囲)
  • 選考の仕組みから見て、書いても効かないもの

前半は根拠のある話、後半は書き方の話です。


1. 履歴書に「書かなくていい欄」は、国が決めています

日本産業規格(JIS)の解説には長らく履歴書の様式例が載っていましたが、2020年7月、日本規格協会がこの様式例を解説から削除しました。規格そのものが廃止されたわけではなく、参考として載っていた履歴書の様式例がなくなった、ということです。

代わりに、厚生労働省が2021年4月に新しい履歴書の様式例を公表しています。

この様式例で、過去の様式にあった次の4つの欄が設けられていません。

  • 配偶者
  • 扶養家族数(配偶者を除く)
  • 配偶者の扶養義務
  • 通勤時間

理由は、これらが応募者のプライバシー性の高い情報だからです。

厚生労働省の履歴書様式例に設けられていない欄と、性別欄の扱い
厚生労働省の履歴書様式例に設けられていない欄と、性別欄の扱い

性別欄は「任意記載」です

同じ様式例で、性別欄は「男・女」の選択式ではなく任意記載欄に変更されました。厚生労働省は未記載とすることも可能と明記しています。

つまり、性別を書かないまま提出しても、様式として不備ではありません。

市販の履歴書用紙には、いまも旧様式のまま配偶者欄や通勤時間欄が残っているものがあります。用紙に欄があることは、書く義務があることを意味しません。 気になる場合は、厚生労働省の様式例をダウンロードして使う方法もあります。


2. 採用側が「聞いてはいけない」とされている事項

もう一段はっきりしている話があります。厚生労働省は、採用選考において把握そのものを避けるべき事項を挙げています。

本人に責任のない事項

  • 本籍・出生地に関すること
  • 住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
  • 家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
  • 生活環境・家庭環境などに関すること

本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)

  • 宗教に関すること
  • 人生観・生活信条などに関すること
  • 思想に関すること
  • 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
  • 支持政党に関すること
  • 尊敬する人物に関すること
  • 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること

選考の方法として配慮すべきこと

  • 身元調査の実施
  • 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断
  • 本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用

最後の項目が効いてきます。適性・能力に関係のない項目を応募書類に含めること自体が、配慮すべき事項として挙げられています。

ここから分かること

書類に書く必要がないだけではありません。面接で聞かれた場合も、答える義務はありません。

とはいえ、その場で「それは厚生労働省が」と返すのは現実的ではないと思います。私なら、こう返します。

「そのご質問は、業務との関係で確認が必要なことでしょうか」

答えを拒否するのではなく、必要性を尋ね返す形にすると、角が立ちません。そして、この質問に具体的に答えられない会社かどうかが、そのまま判断材料になります。


3. 職務経歴書で、書いても効きにくいもの

ここからは制度の話ではなく、書き方の話です。

書類選考は、応募1件あたりにかけられる時間が長くありません。書いてあっても読まれない場所に配点を置かないという考え方で削っていきます。

削って構わないもの

項目 理由
会社の事業内容の長い説明 応募先が知りたいのは会社ではなく本人です。1〜2行で足ります
抽象的な自己PR(責任感がある、粘り強い) 検証できないので判断材料になりません
担当した業務の網羅リスト 全部書くと、何が得意なのかが消えます
応募先と関係のない古い職歴の詳細 職歴として残しつつ、記述量を落とします
使えるソフトの羅列(Word、Excel、PowerPoint) 差がつかないので場所を取るだけです
趣味・特技 職務経歴書には不要です

逆に、短くても効くもの

  • 担当した範囲(何人のチームで、どこからどこまでを持っていたか)
  • 数字(規模・件数・金額・期間。増減より、まず規模)
  • 判断したこと(言われてやったことと、決めてやったことを分ける)
  • 再現できる理由(うまくいった理由が書いてあるかどうか)

このうち「判断したこと」が最も効くと思います。同じ業務でも、指示を受けて実行した人と、やり方を決めた人では、任せられる仕事の範囲が変わるからです。


4. 最初に見られる順番から逆算する

書類選考は、上から順に精読されるわけではありません。おおむね、この順に確認されていきます。

  1. 直近の職種と在籍期間が、募集内容と噛み合っているか
  2. 職歴の連続性に説明のつかない空白がないか
  3. 担当範囲の規模が、募集しているポジションと釣り合っているか
  4. そこまで通って初めて、中身

この順番で見られるなら、1ページ目の上半分にその3つが入っていないと、中身まで到達しません。

だから、こうします

  • 職務要約を冒頭に3〜4行置く。ここに職種・年数・担当範囲・規模を入れる
  • 経歴は新しいものから書く(古い順に書くと、直近が下に沈みます)
  • 応募先に関係する経験を、上の方に厚く書く
  • A4で2枚まで。 3枚を超えると、2枚目以降が読まれない前提で考えたほうがいいです

5. 書類が通らないときに見る順番

何社か出して通らないとき、中身を書き直す前に確認したいことがあります。

  1. 応募している求人と、直近の職種がずれていないか
    書き方の問題ではなく、応募先の選び方の問題であることがあります。

  2. 職務要約が「経歴の要約」になっているか、「意気込み」になっていないか
    意気込みが冒頭にあると、判断材料が下に押し出されます。

  3. 数字が1つも入っていないのではないか
    規模が分からないと、釣り合っているかどうかを判断できません。

  4. 1つの書類を全社に出していないか
    応募先ごとに、上に置く経験を入れ替えるだけでも通過率は変わります。

  5. そもそも書類が原因なのか
    募集が終わっている、条件面で最初から外れている、という場合もあります。ここは応募者側からは見えません。

書類を何度書き直しても変わらないときは、1番か5番であることが多いと思います。書き方の問題にして延々と直し続けるのは、いちばん消耗する進み方です。


まとめ

  • 配偶者・扶養家族数(配偶者を除く)・配偶者の扶養義務・通勤時間は、厚生労働省の履歴書様式例に欄がありません
  • 性別欄は任意記載で、未記載も可能です
  • 本籍、家族、住宅状況、宗教、支持政党、愛読書などは、採用側が把握を避けるべき事項として挙げられています。書く必要も、答える義務もありません
  • 職務経歴書で削るのは、会社説明・抽象的な自己PR・網羅リスト・ソフトの羅列
  • 残すのは、担当範囲・数字・判断したこと・再現できる理由
  • 1ページ目の上半分に、職種・年数・担当範囲・規模を置く

書類は、通すための文章ではなく、判断してもらうための材料だと思います。材料が足りないから判断されないだけ、というケースはかなりあります。


出典

  • 厚生労働省「履歴書の様式例の作成について」(令和3年4月)― 性別欄を任意記載に変更し未記載も可能とすること、配偶者・扶養家族数・配偶者の扶養義務・通勤時間の各欄を設けていないこと
  • 厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時に配慮すべき事項」― 本人に責任のない事項/本来自由であるべき事項の各項目、および本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用について

いずれも2026年9月12日に確認した内容です。制度は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省のサイトでご確認ください。

なお、本記事の第3節以降は選考実務の一般的な傾向にもとづく整理であり、特定の企業の運用を示すものではありません。